楽天モバイルは、2019年10月に「第4のキャリア」として携帯電話業界に参入し、最新の通信技術である5Gを使用したサービスを提供すると発表しています。
ところが、楽天モバイルの基地局整備は進んでおらず、2019年8月には、総務省から基地局整備を急ぐよう3度目の行政指導が下されました。
「楽天モバイル、興味はあるけど、既存のスマホと比べて繋がりにくかったりするのでは?」
「基地局が整備されなかったとしたら、楽天モバイルはどうなるの?」
気になる方も多いのではないでしょうか。そこで当記事では、楽天モバイルの基地局整備はなぜ進んでいないのか?今後どうなるのか?サービス提供開始までに間に合うのかなどの事柄についてお話しいたします。
今後楽天モバイル(5Gサービス)への乗換を考えている方はぜひご一読ください。
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楽天モバイルの基地局整備は間に合う?行政指導が下された理由や今後の展望
そもそも、なぜ楽天モバイルが携帯電話業界に「第4のキャリア」として参入したのかというと、既存3キャリア(au、ドコモ、ソフトバンク)が最新の通信技術である5Gを使用した新サービスの提供開始を発表する中で、その新サービスの価格競争をさせたいという総務省の目論見があったからです。
総務省は新規参入事業者を募り、その計画に乗ったのが楽天モバイルだったのです。
したがって、楽天モバイルの基地局整備が遅れていたとしても、それは同社だけの責任ではなく、総務省にも一定の責任があるといえます。
行政指導を下したからといって用地獲得が進むわけではありませんから、ただ注意をするというばかりでなく、具体的提案型の指導によって同社の基地局整備を手伝うという姿勢こそ、総務省が本来取るべき姿勢であり、そのことは楽天モバイルを批判する前に確認しておかなければなりません。
そのうえで、楽天モバイルの基地局整備がなぜ進んでいないのか、今後どうなっていくのかについてお話しいたします。
楽天モバイルの基地局数は?なぜ整備が進んでいない?
総務省が公開している「無線局免許状等情報」によれば、楽天モバイルの関東エリアの稼働中の基地局数は、7月30日の時点で118基しかありません。しかもそのうち100基が東京23区内に集中しているという状況です。
基地局は明らかに不足しており、サービス開始の2ヵ月前でこの状況ですから、基地局整備は明らかに遅れていると言わなければならないでしょう。
ではなぜ基地局整備が遅れているのかというと、用地獲得に時間がかかるからです。
基地局を建設するには当然土地を獲得しなければなりません。となれば、土地の持ち主との交渉が必要となります。
費用も時間もかかるでしょうし、時には地主から土地は絶対に譲らないとはねつけられることもあるでしょう。
他にも色々と理由は考えられますが、基地局を建てる土地の獲得に難渋しているというのが基地局整備遅れ最大の理由だと思われます。
既存の大手3キャリアも、5Gサービス提供に合わせた基地局整備には苦労している模様です。
いずれのキャリアもやはり基地局を建てる土地の獲得に苦労しているようで、新規参入事業者である楽天モバイルが苦戦するのも無理はないでしょう。
楽天モバイルは今後どうなる?サービス開始までに間に合うか
楽天は2019年8月8日に開催した株主総会で、サービス開始当初はこれを「スモールローンチ」とする方針を発表しています。
つまり最初は限定的にサービスを提供し、その後基地局整備が進み、通信の安定性等が確認されれば、少しずつサービスの提供範囲を広げていくということです。
楽天の説明によれば、基地局整備はこの「スモールローンチには間に合う」とのことです。つまり、いきなり全国展開ができるほどには基地局整備が進んでいないということですね。
今年10月から全国民が使用できるということはなさそうです。やはり基地局整備が遅れているわけで、サービス開始当初はこれを限定的なものにするとの決定は、賢明な判断だったと言えるでしょう。
それほど心配する必要はない?
楽天モバイルの基地局整備が進んでいない、どうするんだと騒ぎになっていますが、それほど心配する必要はないと筆者は思います。
何故なら、そもそもサービスは限定的なものとして提供が開始されますし、準備が整い次第全国展開されるわけで、「どうしても10月から楽天モバイルを使い始めたい!」という方以外には、特に実害がないからです。
「繋がりにくい」という状況でサービスが開始されるわけでもなければ、基地局整備が進まなかった場合楽天がこの事業から撤退するというわけでもないのです。
楽天モバイルに乗り換えたければ、サービスの準備が整ってから乗り換えれば済む話で、利用者が困る場面はそれほどないのではないかと私は考えています。
もしかすると、10月にちょうど契約更新期間が来るから、それを機に大手3キャリアのスマホを解約し、楽天モバイルに乗り換えようと考えていた方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方にとっては、これは少々残念なニュースだとは思います。しかし、楽天を批判したところで、では基地局建設に必要な土地が増えるのかというと、増えませんよね。
同社も多少見積もりの甘かったところはありますが、こうなった以上は仕方が無いのです。楽天が基地局を整備してくれるのを待つしかありません。
それよりも、楽天モバイルが携帯電話事業に参入することのメリットを考えたほうがよいでしょう。
多少サービスの提供が送れたとしても、楽天が参入してくることには利用者にとっての様々なメリットがあります。
楽天モバイルが携帯電話業界に参入することにはどんなメリットがあるの?
楽天モバイルが第4のキャリアとして携帯電話業界に参入すると、総務省の当初の目論見通り、価格競争が今よりも激しくなると考えられます。
つい最近、スマートフォンの本体の購入費用と、料金プランとを完全に分離する「分離プラン」への完全移行が話題になりましたが、その影響もあり、価格競争はどんどん激しくなっていくものと思われます。
それはむろん利用者にとって「スマホ料金が安くなる」という意味でメリットのあることです。
分離プランとは、長期利用者の料金が割高になっていること、新規契約者に対してスマホ本体を無料で提供するための資金を長期利用者が負担していることを問題視し、そのような料金システムを禁止するというルールに従って作られたものです。
この分離プランの誕生によって、各キャリアは長期利用者の料金にスマホ代金分の上乗せをすることができなくなりました。
スマホは料金プランとは別に、単体で販売せざるを得なくなり、それを割引しようと思えば、キャリアが利益を減らして、実費でスマホ本体を割引しなければならないのです。
要するに今、携帯電話業界は大きな変革の時期にあると言えます。料金プラン・システムが根底から見直され、どのようにして新規顧客を獲得するか、どのようにして長期利用者を増やしていくか、各社が頭を悩ませているところなのです。
そこに第4の勢力として楽天モバイルが参入すれば、価格競争は今よりももっと激しくなります。
ちょうど分離プラン導入の時期にあって、各キャリアは今後どのようにして顧客を獲得、維持していくか検討をしているところです。
他社、特に新勢力である楽天モバイルに顧客を奪われないように、たとえばスマホ本体をキャリアが全額負担するなど、大胆な割引サービスが導入される可能性もあります。
このようなメリットを考えれば、楽天モバイルが参入することは、利用者にとって非常にありがたいことなのです。
皆さんが今お使いのスマートフォンの料金も、楽天モバイルが業界に参入するのを機に安くなるかもしれません。
基地局整備が遅れているのは残念ですが、だからといって楽天モバイルを叩くようなことは控えたほうがよいでしょう。
楽天モバイルの基地局や今後まとめ
以上、楽天モバイルの基地局整備の遅れや、今後の展望についてお話しいたしました。
基地局の整備が遅れているのは事実であり、その理由は用地獲得が難しいことです。そのため楽天はサービスを開始当初は限定的なものにすると発表し、それに向けて準備を進めています。
楽天モバイルが参入することには利用者にとってのメリットも大きいですし、準備が整い次第サービスは全国展開されていくわけですから、それほど騒ぐことではないですし、同社を叩くようなことでもないでしょう。
楽天モバイルが本格参入するまで気長に待つのが宜しいかと思います。